音大生にエール! 連載02|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載02】門を叩けば開かれる

皆さんこんにちは、ピアノの斎藤雅広です。
学生の皆さんのお助けになるような、勇気が持てるようなお話を、毎回ここで出来れば良いなあと思っています。

前回は「これからは本格派の時代だ」みたいなことを書いてみました。そういう意味では、まだデビューしていない皆さんはラッキーです。ちょうど今、活動を始めたばかりのような人たち、中途半端にイヴェントのアーティストなんかでやり始めていた人は、このコロナで瞬殺でしたね。オーケストラだって廃業の危機にさらされているのですから。

だから腰を落ち着けて勉強ということですが、ここでもう1つ残念なことは外国になかなか出られなくなったということですね。クラシック音楽は歌舞伎などと同じく伝統芸能です。どんなに才能があってもその伝統を知っていなければ、ただのデタラメになりかねません。どんな天才でも必ず、その型のようなものは誰かに教えてもらわないと成り立たないのです。

門を叩けば開かれる ピアノだと昔の巨匠エドヴィン・フィッシャーのような人、亡くなったスコダもバレンボイムなども彼の教えを受けているので、そのレッスンでは同じ気脈の伝統が流れていましたね。

そういう伝統はまた、それぞれの国の流派もあり、ひと筋縄では行かない物ですが、日本人ですから色々な流派を広く吸収できるという利点もあります。グローバル化が進みすぎて、ポーランド人よりも日本人の方が正当なマズルカを弾ける等、そんなことも現実になっています。

昔と違って日本の演奏家もそのような伝統を受け継いでいる人が多いので、留学に頼らなくても多くのことが勉強できると思います。臆せずに演奏家の門を叩いてみましょう。実は演奏家は忙しいだけで、不親切な人はあまりいません。多くの先生に習うことはとても大切なことです。

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

斎藤雅広 facebook

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次回の掲載は2020年8月5日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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