音大生にエール! 連載04|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載04】魔がさす、その瞬間

皆さんこんにちは、ピアノの斎藤雅広です。
学生の皆さんのお助けになるための連載4回目です。

皆さんは演奏中に「魔がさした」経験ありますか?
ハラハラせずに思ったように、または勉強したようにいつも演奏できる人はスゴイ!
そんな人いるかな?のレベルですよ。

魔がさす、その瞬間 大抵は「あっ」と思った瞬間に何かが崩れて、後悔が残るような、そんな演奏をしてしまうものですね。これはかなり多くの人がそうなんですから、「失敗を恐れずに」等と他人は言いますが(笑)、本人にしてみればとても嫌なことです。

私はあえて「失敗」ではなく「魔がさす」と言いましたが、実はそれは悪いことばかりではなく、落ち着いて冷静に成功した演奏がとてもつまらなく聞こえていたり、才能がある人のほうが本番に何かを感じ暴走したりすることが多いからなんです。

もともと音楽には人を魅了する「魔」の部分がありますから、演奏もただの石頭の領域ではなく、不確実な魅力があってこその物だと言えます。

それでも本番で崩れないために「ありとあらゆることを想定して練習を重ねる」のはあたり前、オリンピック選手にも似ていますね。

魔がさす、その瞬間 ベストを出すためにそれは必要ですが、音楽的にはさらに「どんなつまらない状況でも、演奏する以上はその気になって演奏する」ということが大事かもしれません。

逆説的には「演奏は常にその場限り」なんだからいつも本気で、ノリノリで演奏していないと、肝心なときに力んで「魔がさす」ことが増えてしまいがちです。

そうは言っても人間、いつも楽しいわけではありません。コロナだし!そこを何とか楽しい気分でいたいものです。昔から「音楽バカ」という言葉がありますが、音楽しか出来ない「音楽バカ」ではなく、演奏した途端に人が変わってノリノリになってしまう「音楽バカ」!これが出来ないと演奏家の人生はキツイかもですね。

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

斎藤雅広 facebook

斎藤雅広さんに聞いちゃおう!

ピアニスト 斎藤雅広さんにお聞きしたいことなどありましたら、こちらからお問い合わせください>>>

次回の掲載は2020年9月7日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

バックナンバー