音大生にエール! 連載06|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載06】一生ものの付き合い

このコロナ禍で新入生の皆さんはなかなか学校に行けなかったり、室内楽などの合わせも思うように出来ていないかもしれませんが、音楽大学の友人関係というのは非常に特殊ものだと思います。

一生ものの付き合い 例えば「この子が上手い」「才能がある」と意識したとき、その人はあなたにとっては一生、目の上のたんこぶになってしまうかもしれませんし、ライバルとなったら、それは生涯にわたっての相手となります。つまり音楽大学での人間関係はそこでは終わらず、一生継続するということなのです。もちろん他の大学にだって、友情を育てられる関係はいくらでもありますが、もっと狭く、そもそもが一生同じメンバーでの社会ということなのです。

例えば室内楽や合わせものは、ただ仲良しな相手とやるよりも、先生や演奏家、自分よりも経験豊富な相手とやる方が勉強になる・・・これは当たり前ですが、何よりも楽しいのです。また同レベルやレベル以下の人たちとの演奏では、悲しいですがあまり何も生まれて来ません。多少人間的に癖があっても、自分より上手い人を見つけて友達になる!そんなことを言うと、ちょっと打算的な感じで嫌なイメージですが、生涯同じメンバーで人生を送る私たちにとっては、生きていく上で重要な選択です。それに上手い人たちが、経験値の劣る自分を選んでくれるのかどうか?ここにも難しい努力が必要ですね。

一生ものの付き合い 下級生のあなたは積極的に勉強して自分の才能アピールしなければいけません。そして上級生のあなたは、将来有望そうな人たちを受け入れる余裕がなければいけないということです。それはそのまま音楽人生に反映されて、ストレスのない友情関係と充実した音楽的な関係を生み出していくことでしょう。

社会人になって第一歩が始まるのではなく、音楽大学入学というのは、そこで自分の人生の方向性を決める、大きなチャンスの時なのです。

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

斎藤雅広 facebook

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次回の掲載は2020年10月7日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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