一生ものの付き合い
このコロナ禍で新入生の皆さんはなかなか学校に行けなかったり、室内楽などの合わせも思うように出来ていないかもしれませんが、音楽大学の友人関係というのは非常に特殊ものだと思います。
例えば「この子が上手い」「才能がある」と意識したとき、その人はあなたにとっては一生、目の上のたんこぶになってしまうかもしれませんし、ライバルとなったら、それは生涯にわたっての相手となります。つまり音楽大学での人間関係はそこでは終わらず、一生継続するということなのです。もちろん他の大学にだって、友情を育てられる関係はいくらでもありますが、もっと狭く、そもそもが一生同じメンバーでの社会ということなのです。
例えば室内楽や合わせものは、ただ仲良しな相手とやるよりも、先生や演奏家、自分よりも経験豊富な相手とやる方が勉強になる・・・これは当たり前ですが、何よりも楽しいのです。また同レベルやレベル以下の人たちとの演奏では、悲しいですがあまり何も生まれて来ません。多少人間的に癖があっても、自分より上手い人を見つけて友達になる!そんなことを言うと、ちょっと打算的な感じで嫌なイメージですが、生涯同じメンバーで人生を送る私たちにとっては、生きていく上で重要な選択です。それに上手い人たちが、経験値の劣る自分を選んでくれるのかどうか?ここにも難しい努力が必要ですね。
下級生のあなたは積極的に勉強して自分の才能アピールしなければいけません。そして上級生のあなたは、将来有望そうな人たちを受け入れる余裕がなければいけないということです。それはそのまま音楽人生に反映されて、ストレスのない友情関係と充実した音楽的な関係を生み出していくことでしょう。
社会人になって第一歩が始まるのではなく、音楽大学入学というのは、そこで自分の人生の方向性を決める、大きなチャンスの時なのです。