音大生にエール! 連載07 トランプを笑えない|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載07】トランプを笑えない

最近、大統領選挙で奮闘するトランプ大統領の様子が伝えられていますが、コロナに感染しても他人の迷惑を顧みずに、自分のために大義名分を作って大騒ぎですね。でもこれは笑えません。音楽家というのもまたそうした状況だからです。

トランプを笑えない 今、ただでさえ仕事がなく厳しい音楽家たちが、コロナ禍で仕事を減らし、お客を減らして皆さんが想像以上に大変なことになっています。動画を作るといくらかお金になるという話も微々たる物だし、誰もがそれで収益を得てはいません。また一見良さそうに見える仕事も、実は小さなレストランや芸術性のないイベントだったりと、そのわずかなお金のために日々振り回されて、その割には全く収入にならないことも多いようです。

またコロナ対策も実は曖昧です。いつクラスターになるかわからないし、働き出すと交通機関も利用するようになり、そこには不注意な人たちも多いのが現状です。感染者が発生しているのに黙っている学校も実際あるそうですよ、皆さんもご用心下さいね。

そんな中で音楽家たちは本来は諦めてじっとしていた方が良いのだと思いますが、フェイスブックでは自己宣伝状態、「私は活躍している」とアピール合戦になっています。仕事をするために必死な気持ちも伝わってくるのです。多少感染しようが何のその、小さな迷惑は一切黙殺した上で前に出ようとしなければ、自分の音楽家としてのキャリアが死んでしまう。誰もトランプを笑ってはいられません。

トランプを笑えない もちろん他の職業も、お給料をもらう限り、朝早くから出勤してリスクを背負って働いているわけですから、何も変わりはありませんが、職業の椅子取りゲームのような枠が小さい音楽界は、全く先が見えません。音大を卒業して目の前に何があるのか?何もないときに皆さんは芸術に対する愛だけで生きていけますか?音楽家としての本質が問われる時代になりそうですね。

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

斎藤雅広 facebook

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次回の掲載は2020年10月26日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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