音大生にエール! 連載08 唯我独尊にも生きられる|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載08】唯我独尊にも生きられる

唯我独尊にも生きられる だんだん音楽家としてキャリアを積むと、この業界は人間関係、忖度こそが必要なことがわかります。もともと日本では、音楽家に対する絶対評価などありません。「この人が第一人者だ」と誰かが推せばスターになれたり、仕事も増えたり。仮に実力がゼロでもです。だから世襲で、有名な誰かの子供とか有利ですね、中身がなくてもあるように宣伝されます。コンクールもそうです、審査員の先生たちの反感を買っていたら、実力があっても賞などはもらえません。学内の試験もそうです。やはり有力者のそばにいること!しかしその有力者も、なぜ有力者になれたのかは謎また謎。だからここで生き抜くには、誰からも好かれるように、我慢して笑顔(笑)。どの職業でもそうですが。

それが出来ずに筋を通したり、おかしいことには突っかかっていったりすると、人生は大変になります、私のように(笑)。気分はとても良いですが、後悔は残りますよ、もっとこんなこともやらせてもらえたのに・・・なんてね。体制派の人間も死んでいきますし失脚したりしますから、歯をくいしばり頑張っていれば生き残りは可能。しかし結局、別のところでプライドを捨てなければならなかったりで、どちらが良いのか。

唯我独尊にも生きられる 最近は若い人に対しても忖度、私もこれが不発です(笑)。絶対にこちらが意見を通した方が良い演奏になるのはわかっているんですが、嫌われないように(笑)共演の若い子の音楽に従ってしまうことが多いのです、そして必ず後悔しています。自分が若いときは生意気に自分の意見を通そうとして、それで上手くいかないのは爺たちのせいだと思っていました。これは自分の未熟さを爺が許してくれていたのですよ、爺になってわかりました(笑)。これからは譲らないことにしようと思ってます。音楽家ならば唯我独尊もアリ、皆さんはどんな音楽家人生を選ぶのでしょうか?

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

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次回の掲載は2020年11月5日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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