音大生にエール! 連載10 大学に関わらずに生きていけるか?|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載10】大学に関わらずに生きていけるか?

大学に関わらずに生きていけるか? 私自身は音大生活はほとんど学校に行きませんでした。一年の時にコンクールで賞を取れたおかげで、そのまま演奏活動に入りました。当時はあまりそういう人はいなかったので、色々攻撃もされて矢面に立ちましたが、今ではそういうことは歓迎されていますよね。私たちの世代が、なんだかんだ皆さんの踏み台になっている所もあるのです。

また当時は入学した途端に留学してしまう人は結構いました。そういう人はそのまま外国に残り、中退という形になる場合も多く、逆に留学から戻って来た人は、自分の同級生はもう卒業していたりして、何となく浮いていた様子もありました。留学というのは「行く」より「帰る」時期こそが難しいものだと思います。

さてそのように音大生であっても、私たちの時代でも、ほとんど学校に関わらないで過ごしてしまう人間も少なくありませんでした。個人の実技が主体ですから、学校生活がなくても支障はありません。だからこのコロナ禍、学校とはあまり関わらずに資格だけもらうのも、音楽家として何かそれで欠如するか?という心配は何もないのです。1つ友達が出来ないと言うことを除いて。

アンサンブルは友達がいなくても勉強として出来ますが、本当の意味で友達がありがたいのは、社会に出てからうだつが上がらないときに、助けてもらうことが出来ることです。結局は同業者ですから、みんな敵でもあるわけですが、それを越えて友人がいるというのは、この業界で生きていくときに大きな心の支えになります。

大学に関わらずに生きていけるか? お互いに助け合う心やそのタイミングを知ることができるのは、大学に通う美点です。また音楽大学は音楽業界の縮図もそこにあります。それを経験するのが良いのか悪いのかはわかりませんが、音楽大学には「音楽業界そのものがそこにある」ということを知っておくことは大切ですね。

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

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次回の掲載は2020年12月7日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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