音大生にエール! 連載11 試験シーズン到来|音大生就活ナビ

音大生にエール!

【連載11】試験シーズン到来

試験シーズン到来 大学ではそろそろ試験のシーズンでしょうか?もちろん大学によって時期も形態も違うと思いますが、今年の実技試験は「大変そうだなあ」と感じます。オンラインでやるところもあると思いますが、オンラインでなくても、この1年間を閉塞された空間で音楽を奏でてきた学生さんにとって、試験での演奏というのはどんな意味があるのか?と考えさせられます。

演奏するということにとって、最も大事なのは自己主張と個性、そこから発生する開放的な自由さを持つ心です。この1年、おうちにこもって練習し続けたわけですから、開放的な自由さなど、なかなか現れては来ないでしょう。ましてや試験、先生たちからあら探しをされる場所ですから、萎縮してミスをしないようにするだけの演奏に終わる可能性も多い。プロもそうです。あるピアノの若者は図々しい感じではありましたが(笑)、でもミスをしないことだけを考えたように、フレージングには何の心も表情もない最悪の演奏をしていました。これは音楽の根本を見失っています。

試験シーズン到来 クラシック音楽にはもう1つ「伝統の継承」という大きな課題があります。だからこそそこにたぎる熱い心があるのです、自分がどうして楽器を始めたか?最初に聴いて感動した演奏のこと。プロとして歳を重ねて行くほど、そうした熱い想いが、伝統の重みと共に必要になってきます。皆さんはいかがですか?情熱を失っていませんか?

先が見えない、来年もどうなるかわからない、こんな中で明るい気分を保て!と言うのも酷ですが、本来音楽家は「音楽バカ」と言われるような部分を持っています。どんなに辛いことがあっても、楽器を手にした途端に人が変わってノリノリになれますよね?この状況を打破するのはこうしたエネルギーです。試験なども妙に賢く冷静にならず、本来のバカに戻って思い切り演奏してみるのはいかがでしょうか?

ピアニスト 斎藤雅広 profile

ピアニスト 斎藤雅広 東京芸大出身。ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。18歳で第46回日本音楽コンクールに優勝し、翌年NHK交響楽団との共演でデビュー、「芸大のホロヴィッツ」と称される。 国内主要オーケストラの他に、韓国KBS響、ミュンヘンプロアルテ室内管、ワイマール歌劇場管弦楽団等と共演し、ウクライナ、イギリス、ポーランド、フランスの国際音楽祭に招かれリサイタルを開くなど、海外でも高く評価された。室内楽でも巨匠ヨゼフ・スークはじめ、ペーター・シュミードル、ヴェンツェル・フックス、ヤナーチェクSQ、ヴィア・ノヴァSQ等とも共演を重ね賞賛された他、 フランチェスコ・アライサ、ルチア・アリベルティ、デニス・グレイヴス、トム・クラウゼ、イロナ・トコディ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ、サイモン・エステスをはじめ、多くの世界の名歌手達から厚い信望と絶賛を得て、わが国最高の名手という評価を不動のものとした。

斎藤雅広 facebook

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次回の掲載は2020年12月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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