音大生にエール! 連載13 演奏の価値とは|音大生就活ナビ

音大生にエール!

2021年あけましておめでとうございます!
今回から、声楽演奏家・オペラ歌手の池田直樹さんからの音大生へのエールをお届けいたします!!
今年も「音大生にエール!」をどうぞよろしくお願いいたします!

【連載13】演奏の価値とは

声楽演奏家・オペラ歌手の池田直樹さん 私は声楽演奏家・オペラ歌手ですから、声楽の勉強をしている学生にエールを送ってみたいと思います。ピアノ、楽器を学んでいる学生にも参考になるかも知れません。

「歌はだれでも歌える」そうです歌は誰でも歌えるのです。誰に習わなくても、指導を受けなくても歌えるのです。しかし価値を持つ歌唱と、価値の薄い歌唱があります。これはみんな分かっていることですよね。
Bravo!!と声の掛かる歌と、パラパラの拍手の歌とは、なにが違うのですか?「いい演奏だったね!」という演奏と「特になにも感じなかった」演奏はなにが違うのですか?
ベートーヴェンのピアノソナタを小学生が発表会で間違うことなく弾く、同じ曲を一流の演奏家が弾く!ホールはスタンディングオベーション!!なにが違うのですか?小学生も間違いなく完璧に弾いたのです。小学生の演奏と、一流の演奏家とは「なにか」が大きく違うのです。なにが?

この「なにが?」が「なにか」であることを知ることが出来れば、あなたの演奏に「なにか」が加わるのです。あなたも人の歌を聴いて感動することも、ガッカリすることもあるでしょう?なにに感動したのですか?なににガッカリしたのですか?あなたも、他人の演奏に対しては「感動できるレベルの歌」と「大したことのない歌」を聴き分けることができるのです。ならば、その耳・判断力で自分の歌を聴くことは出来ないのですか?

演奏の価値とは 他人の演奏は判断できても、自分の歌にその客観的な判断を活かしてはいないのです。「自分の演奏」だけは高い棚に置いているのです。自分には甘いのです。私たちが若い頃と違って、YouTubeを使えば、瞬時に名演奏家の演奏を参考にすることが出来ますし、聴き比べさえ容易に実現できます。それらの「有名演奏家」の演奏とあなたの歌を比べてみたらどうでしょう?一緒に歌ってみたらどうでしょう?同じブレス位置で、その歌手が歌っているのと同じように、歌ってみるといいのです。歌えないのです。だから名演奏家は一流演奏家であり、あなたは無名の学生なのです。もちろんどんな一流の演奏家も初学者の無名の時代があるのですから、あなたと同じ年齢で歌えたわけでは無いのです。

自分の歌を録音することも今は簡単です。あなたの歌唱の録音を聴いてみて下さい。感動しますか?自分の歌の水準を知って下さい。天才作曲の作品のキャパシティーは無限で、作曲されてから200年経っていようが、あなたの個性を作品に反映させることができるのです。個性を演奏に表現するといっても、勝手なことをやるということではありません。楽譜にあくまでも忠実に!!徹底して楽譜に忠実に演奏することで、作曲者からのご褒美を受け取る権利を得ることが出来るのです。あくまでも忠実に!!1音たりとも、楽譜に書いてないことをやっては、ご褒美を貰えません。

演奏の価値とは 楽譜には、書いてあることと、「目には見えない書き込まれた」ものがあるのです。この楽譜にあくまでも忠実に!という姿勢を厳密に持つことを自分に課していれば、楽譜に書いていない、「作曲者の書き込んだ」ものが見えてくるのです。これが「なにか」です。これをあなたの歌唱に、演奏に活かすことが出来れば、あなたの演奏で涙を流すお客様を見る幸運に恵まれるかも知れません。徹底的に楽譜に忠実に!!いつの日か音楽の神様からのプレゼントを受け取る日がありますように!!

池田 直樹(いけだ なおき)バス・バリトン profile

  • 東京芸術大学首席卒業、同大学院修了。
  • 中山悌一、小島琢磨、ハンス・ホッターの諸氏に師事。
  • 1980~81年、文化庁芸術家在外研修員としてミュンヘンに留学。
  • 著書:「声の力」河合隼雄、阪田寛夫、谷川俊太郎氏との共著(岩波書店)

ピアニスト 池田直樹 二期会オペラ公演では『フィガロの結婚』『コジ・ファン・トゥッテ』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』『ローエングリン』『タンホイザー』『ジークフリート』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』等、数多くの作品に出演。新国立劇場公演でも『アラベッラ』『マノン・レスコー』『トスカ』『夕鶴』『沈黙』『マノン』『ドン・キショット』『ドン・ジョヴァンニ』『椿姫』『セヴィリアの理髪師』に出演し、存在を顕かにしている。独唱会も1976年のシューベルトの歌曲集「冬の旅」を最初に回を重ねている。また、オーケストラとは、宗教的作品やベートーヴェンの「第九交響曲」で多数共演し評価は高い。演奏会企画では、2002年にサントリー・小ホールでの「二期会創立50周年記念・30日連続演奏会」を成功させたほか、「100曲リクエスト・コンサート」「オペラ事件簿」「お代は見ての御帰り!」などで話題を集めている。2020年11月には二期会オペラ公演『メリー・ウィドー』にツェータ男爵役で出演し、朝日新聞で絶賛されている。二期会会員。  

池田直樹さんに聞いちゃおう!

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掲載は2021年1月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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