写真:ルクセンブルク・ フィルハーモニーとEU関連施設
【連載21】腹式呼吸の奥義
写真:ベルリン・シャルロッテンブルク区役所
意識を集めるポイントは、もも付け根のリンパ節と、腰骨後方の丁度左右お尻の筋肉が始まる部分です。後者は意識しにくいので、げんこつでポンポンと叩いてみてください。
仰向けになり、下半身に向かって息を吸い込みます。脚が風船状になっていくようにイメージしてください。吸った空気が両ポイントの間を通って、脚の中に入っていき、あたかも肺が大腿の中まで拡がっていくようです。腹式呼吸どころか、脚式呼吸と言えましょう!
足裏マッサージでもして足裏が活性化されていると、さらにその空気が足裏から先へと抜けていきます。立った状態でこれをすれば、吸った空気が地球という大きな風船に入っていくことになります。地球の立場からみれば、あなた自身がポンプ!
実際には、肺は最大限でもおへそまですら膨らまないそうですから、なんとも偉大なる妄想ですねえ。それでも、良い妄想により深い呼吸をゲットできれば、しめたものです。無理しない程度に、出来るだけたくさん吸ってたくさん吐いてください。
写真:バランスボール
口を狭くしてシューシューいうのではなく、開き気味にして余計な抵抗が発生しないようにしましょう。胸郭も、閉じていては抵抗になってしまいます。前後左右にぐっと拡げてください。頑張らなくても、口から脚や地球やバランスボールに楽に空気が流れていくように。
その状態で、8秒間かけ均等に吸って8秒間かけて吐きますと、 クレッシェンドとディミニュエンドを伴った16小節の長いフレーズになります。「吸う」から「吐く」へ、「吐く」から「吸う」へ、境目をはっきりさせず滑らかに移り変わるのがいいです。
そうしているうちに、身体全体がリラックスしてきて軽くなり、南国の蒼い海に浮遊しているような優雅な錯覚に・・・。ここにきて、例のベルリンに留学していた美人日本人ピアニストが言いました。「それ、ヨガの呼吸と同じですね」。わかっていただけてよがったー!
渡辺 克也(わたなべ かつや) オーボエ奏者 profile
埼玉県立浦和高校を経て東京藝術大学卒業。在学中に新日本フィルに入団。90年日本管打楽器コンクール・オーボエ部門で優勝し大賞も受賞。91年よりドイツに渡り、ヴッパータール響、カールスルーエ州立歌劇場管、ベルリン・ドイツ・オペラ歌劇場管の首席奏者を歴任し、現在はソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルクの首席奏者を務める。ソリストとしてもこれまでハンガリー放送響、ザグレブ・フィル、スロヴァキア・フィル、ヴッパータール響、都響、神奈川フィル、群響、名古屋フィル、日本フィル他と共演。2010年秋より2013年3月まで、産経新聞にて「渡辺克也のベルリン音楽旅行」を連載。現在「ウェブ平凡」にて「オーボエ吹きの休日 ベルリン音楽だより」好評連載中。2011年、第28回日本管打楽器コンクール・オーボエ部門の審査委員長を務める。洗足学園音楽大学客員教授を務めている。ベルリン在住。
http://www.katsuyawatanabe.com
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次回の掲載は2021年5月20日ごろを予定しております!
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