音大生応援団長の進路指導
連載24

教員になる①
―教員免許ってどうなっているの?

ご承知の通り、教員になるには一般に「教育職員免許状」(いわゆる「教員免許」)が必要で、大学で「教職課程」を履修しなければなりません。音大生には教員志望の学生が多く、大体半分以上、多い大学だと7、8割の学生が履修登録をします。ただ履修単位が多いうえ、「教育原理」や「教職論」のように音楽とは直接関係のない科目がほとんどですし、ピアノ科以外の学生の場合、ピアノによる「弾き歌い」がネックになることもあります。4年次の「教育実習」まで辿り着き、免許取得に至る学生は、当初履修者の半分くらいではないでしょうか。

教員免許 また幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など、免許状は校種ごとに分かれていて、大学によって取得できる資格も異なります。ですから大学受験の際に取得できる資格を確認せず、入学してから「しまった!」と思う人も毎年います。特に音大の場合、中学と高校は同時取得できても、幼稚園や小学校の免許状は取得できないことが多いと思います。ただ最近は他の大学と提携して科目履修可能にしているケースもありますから、そのような場合は教務に相談してみましょう。また小中高の同時取得は単位数が非常に多く、見ていて気の毒なくらい授業に出なくてはなりません。教員になる場合は、できれば大学入学時に幼稚園か小中高、大学かを決めておく方がいいと思います。

とはいえ大学に入ってから幼稚園の方がよくなったり、高校がよくなったり。成長期だけに心変わりも激しいようです。学生たちをみていると、そのあたりは難しいなぁ、というのが正直な感想ですね。

教員免許 なお教員免許には普通免許、臨時免許、特別免許があり、大学で取得できるのは普通免許です。普通免許のうち大学院を卒業して得られるのが専修免許、4年制大学が一種免許、短期大学が二種免許となっています。公立学校の教員採用試験の受験は、どの資格も可能ですが、合格後の初任給などには差があり、私立学校では専修免許を応募要件とするケースもあります。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2022年2月10日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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