教員になる②
―教員採用試験は
どうなっているの?(その1)―
前回教員になるために必要な免許資格について解説しました。教員免許を取得するだけでも大変に感じたと思いますが、残念ながらその資格を取得しただけでは教員にはなれません。公立学校であれば各都道府県や政令指定都市などが実施する教員採用試験に、私立学校であればその学校が実施する教員採用試験に合格する必要があります。
昔はこれが難関中の難関で、競争倍率は普通に10倍を越え、地域や校種によっては100倍以上という時代もありました。しかし最近では、定年退職者の増加や35人学級への対応に伴う採用数の増加に加え、教育現場のブラックなイメージが広がり、競争倍率は低下傾向にあります。教員を志望する学生にとっては大チャンス! 文部科学省によれば、公立学校の教員採用試験の倍率は、最近のピークである2000年度の13.3倍が21年度には3.8倍まで低下し、校種別では小学校2.6倍、中学校4.4倍、高等学校6.6といった状況です。高校は自治体によっては採用なしや1、2名というケースも珍しくなく、軟化したとはいえ難関に変わりありませんが、小中学校の教員にはかなりなりやすくなりました。
とはいえ一番倍率が低い小学校でも2人に1人以上は試験に落ちてしまいます。その場合、臨時採用教員、非常勤講師などがあり、これらの試験に受かれば教壇に立つことができます。ただこれらは採用試験に合格した正規教員と違って、契約期間は最長でも1年で、安定した職業とは言い難いのが実態です。毎年多くの卒業生から「臨時採用教員をしていたが、今年はその口がなくなって困っている」との相談を受けます。また雇用期間だけではなく、退職金などの処遇面でも天と地ほどの開きがあります。できる限り現役合格を目指し、不合格の場合でも次の年には受かるようにしたいものです。臨時教員の期間が長くなると、気力や体力の衰えから合格するのが難しくなるようです。教員を目指す場合は、「何としても採用試験に受かる!」との気概と緻密な受験対策が絶対に必要です。