教員になる⑤
―不合格の場合の対応/
教員としての生きがい―
ここまで教員になるためにはどうしたらいいか、採用試験の概要とともに合格戦略もお伝えしました。しかし、残念ながらうまくいかない場合もあるのが現実です。その場合はどうしたらいいのでしょうか。
ひとつは、各自治体の臨時的任用教員(通称「臨採」)名簿に登録し、臨時教員として働きながら次の採用試験に備えることです。臨時教員は必ず求人があり採用されるとは限りませんが、ここ数年は教員不足で募集が多く、採用されるケースが多くなっています。きちんとお給料が出ますので、現場で実践を積みながら翌年の合格を目指せます。勤務ぶりがよければ校長推薦制度のある自治体もあり、その場合は試験にも有利です。とはいえ働きながらの受験になりますから、この場合は学習時間の確保が大きな課題となります。
もうひとつは、次の採用試験勉強に集中することです。ただ収入がありませんから、親御さんのご理解が必要です。この場合、面接対策などは独学では難しいので、経済負担が大きいですが、予備校に通った方がいいと思います。
以上みてきたように、教員採用試験合格の道は決して平たんではありません。勉強や面接対策で自己と向き合う時間は、精神的負担がとても重いと思います。一方で、それはご自身を人間として大きく成長させる原動力になります。子どもから社会で活躍する大人への、避けて通れない道なのかもしれません。
晴れて合格した暁には、日本の未来を担う人材育成の仕事が待っています。授業、生活指導、保護者対応など何かと大変ですが、日々生徒の成長を感じる喜びや、人生への充実感も大きいはずです。また、巣立った生徒が立派な大人となって再会できた時など、言葉では表せない感激が待ち受けています。私にも、多くの卒業生が近況を伝えに来てくれますが、それが生きる喜びにつながっています。
教員の仕事は決して楽ではありません。しかし、それに勝る多くのものが得られる、チャレンジしがいのある職業です。