決算書と株式
さて、今回は貸借対照表の自己資本に関連して「株」のお話です。自宅購入する場合、夫のおカネだけでは足りず、妻の資金も必要になることがあります。たとえば自己資本1,500万のうち1,000万を夫、500万を妻が出すケース。妻が出したおカネをウヤムヤにしてしまうと、万一離婚に至った場合、妻は権利を主張しにくくなってしまいます。それを防ぐため、一般的には自宅の所有権の3分の2は夫、3分の1は妻として登記します。
会社を設立する場合も同じです。自分のおカネだけで足りない場合は、妻に限らず友人や知人はじめ広く社会からおカネを募ります。この行為を「出資を募る」といい、集められたおカネの代わりに会社が発行するのが「株式」です。
たとえば1,500万の出資を募って株式を1万5千株発行した場合、千円の出資につき1株が割り当てられます。出資した人(株主)は、出資した割合だけこの会社のオーナーになるイメージで、会社の最高意思決定機関である「株主総会」では、持っている株数に応じた「議決権」を行使することができるようになります。
そしてこの株の値段が「株価」です。ここまでの説明では、株価は変わらないように感じるかもしれませんが、会社を1年経営して利益が出ると、一部は自己資本に組み込まれますから、株数は同じでも自己資本金額は増え、1株の価値は増加します。ですから利益が出たり、その見込みが高まれば株価は上がり、逆に損失が発生したり、その見込みが高まれば株価は下がります。
会社が一定規模以上になり、さまざまな基準をクリアすると取引所に「上場」することができます。これを「株式を公開する」といい、公開されると日々売買され、株価が新聞紙上などに公表されます。
トヨタの株が2,150円とか、ニトリが13,000円とかっていうのは、この株価のことです。株式市場では、投資家それぞれが上場している会社の将来を予測して、株式を売ったり買ったりしています。
企業を観る目を養うと、就活ばかりではなく、資産形成にも役立ちますね。まさに一石二鳥!