決算書が読めるようになろう④
前回までで決算書の読み方の概略をご説明しました。今回は、実際の貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を使って、企業の実力を調べてみたいと思います。みなさん馴染みの深いところで、「ユニクロ」「ジーユー」などを運営する株式会社ファーストリテイリング(以下、FR)と「ファッションセンターしまむら」などを運営する株式会社しまむら(以下、しまむら)の決算書を比較してみましょう。両社の決算書の概要は表のとおりです(数字が大きいので、100億円未満は四捨五入しています)。
まずは企業、ブランドの規模です。売上高をみると、FRが2兆円を超えており、しまむらを圧倒していることがわかります。ただ、半分以上が海外での売り上げで、国内に限ってみるとユニクロが8400億円、ジーユーが2400億円。しまむらは5800億円ですから、売上高でみると、ユニクロとジーユーの間に位置するブランドであることがわかります。
次に財務(財産)の安定性。これは自己資本比率(資産に対する純資産の比率)でしたね。「純資産」÷「資産」は、FRの46.2%に対し、しまむらは87.2%もあります。FRは海外展開を行う中で積極的に会社を買ってきました(M&Aといいます)から、そのための資金の多くを外部から導入してきたと考えられます。それに対ししまむらは、国内中心で、自分のおカネをうまく活用しながら拡大を図ってきた様子が見て取れます。財務の安定性ではしまむらに分がありそうです。
最後に利益(収益力といいます)。これは売上高に対する営業利益の割合でしたね。「営業利益」÷「売上高」は、FR11.7%に対し、しまむら8.6%ですから、FRがリードしています。ただ、小売業界の売上高営業利益率をみてみると、業界の平均は1%にも達していないようです。ですから両社とも他社が苦戦する中、高い収益力を誇っていると考えられます。
こうして決算書をライバル企業や業界平均と比べることで、その会社に関する様々なことがわかります。就職活動ではぜひ活用していただきたいツールです。