音大生応援団長の進路指導
連載39

音楽系の企業や団体、
アートマネジメントの仕事①

音楽系の企業や団体 夏も終わり9月に入りました。一般就職の活動は峠を越えようとしていますが、音楽系の企業や団体、アートマネジメント関係の仕事の募集は、これからが本番、という所も多いようです。それらを志望する4年生は、気合いを入れているところかもしれませんね。音大生が「音楽に関わる仕事をしたい」と考えるのは、ある意味自然な流れかもしれません。しかし、いくつか留意点があります。

ひとつは正規雇用かどうか、よく確認することです。よくあるのは、「しばらくは非正規だけれど、正規採用登用の道がある」という言葉。実際には「制度としてはあるものの、過去5年正規登用された人はいない」「非正規社員から正規雇用に切り替わる直前に契約を打ち切られた」という話をよく耳にします。平成25年4月から、同じ会社で有期労働契約が更新されて、通算5年を超えると無期労働契約に転換できるルールが定められたのですが、同時に5年で契約を打ち切る企業が多くなりました。実態を確認するのは中々難しいですが、インターネットでの情報収集や、面接時などに「最近正規に転換した社員の方の例を2、3教えて頂けますか?」と質問するなどの確認は行うといいと思います。

音楽系の企業や団体 もうひとつは音楽の知識は必要でも、演奏力はあまり関係ない、ということです。特にアートマネジメント関係は、裏方の仕事が多いですから、海外の演奏家や団体との出演交渉や契約締結といった仕事が多くなります。これらの仕事に必要なのは、語学力や交渉力、はたまた法律的知識です。その場合、音大時代にいかに演奏を頑張ったかをアピールしても相手に響きません。ライバルはむしろ一般大学の学生。志望する企業、団体での仕事内容をしっかり把握し、どういうスキルが必要になるかを想像したり 確認したりして、できるだけ早く準備しておくことをお勧めします。

また募集人員が少ないケースが多いです。その理由やうまくこれらの仕事で活躍している人に共通するポイントなどについて、次回お話ししたいと思います。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

音大生の応援団長、大内孝夫さんにお聞きしたいことなどありましたら、こちらからお問い合わせください>>>

次回の掲載は2022年9月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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