音楽系の企業や団体、
アートマネジメントの仕事②
音楽系の企業や団体、アートマネジメントの仕事は、募集人員が1人とか2人とか、とても少ないのが一般的です。大手楽器店でも10名募集がせいぜいではないでしょうか。しかも音大生以外が応募し、採用されるケースも多いので、激戦です。理由は大きく3つあると思います。ひとつは事業規模が小さい先が多いことです。必然、社員や職員の数は少なく、新規採用自体が少ないわけです。もうひとつは利益が中々でない、簡単にいえば儲かっていないからです。特にクラシックの場合、儲かっていないどころか、国や自治体の補助金で何とか賄えているケースも珍しくありません。「儲け」がなければ、当然余分に雇う余裕がありませんから、できる限り採用を絞らざるを得なくなります。そして最後は少ない人数で運営するには、新卒を教育するより即戦力となる中途採用を優先する傾向が強いことです。
こうした中で注目されるのは、島村楽器が「ミュージックインストラクター」という音楽教室の正社員募集を開始したことです。これまでは契約社員でしたが、制度を改め正社員にしたとのこと。音楽教室の先生の職種ではありますが、要注目です。
次に音楽系の仕事にうまく入り込み、活躍している人に共通するポイントです。これはひと言でいえば、私が『「音大卒」は武器になる』の中でお伝えしている「音楽+α」のαの部分が大きい人。「音楽もできるけど、英語がスゴイ!」とか、「音楽もスゴイけど、動画配信技術がモノスゴイ!」みたいな感じでしょうか。そういう人は業界内でも限られるので、スカウトされるケースも多く、引き抜き合戦の様相を呈することもあるほどです。
このような現実を考えると、多くの音楽系の仕事に新卒から就くのは、かなりハードルが高いと考えた方がよさそうです。私は「+α」の部分を磨くため、一旦一般企業に就職し、そこでスキル・能力を磨き、中途採用で応募するのもひとつだよ、とアドバイスすることも多くあります。ご参考になれば幸いです。