音大生の悩み事
(洗足学園音楽大学講演より)
2022年9月22日(木)に洗足学園音楽大学にうかがい、学生・教職員のみなさま向けに『「音大卒」は武器になる~音大卒を武器に、いかに力強く生きるか~』をテーマにお話しさせていただく機会を頂きました。講演後のアンケートを拝見すると、多くのご意見・ご感想を頂き、その中には他の多くの音大生にも当てはまると思われる内容が多くありました。折角ですので、何回かに分けて、みなさんと共有したいと思います。今回は「将来の悩み」についてです。
私が感心したのは、みなさんが将来についてとても深く考えていることです。「正規社員か、フリーランスか」「音大生の自分の強みは何か、それをどう活かすべきか」「ピアニストになれない現実をどう受け止めるか」などと、考えたり悩んだりしています。
このうち正規社員かフリーランスかは、「どちらがいいとは一概に言えない。私のように特別の能力がないか、リスク低く生きたければ正規社員、失敗の可能性は高いが大きな成功を得たければフリーランス。また、人による向き不向きもある。」といった主旨でお話ししました。大谷翔平選手のように50億円近くを稼ぐのは、正社員ではまず不可能ですが、かと言って、フリーランスでは食べていけなくなる恐怖があるのもまた確か。これだけ音楽に本気で向き合ってきた音大生にこのどちらかを選ばせるのは、ある意味過酷なことかもしれません。
ただ、「就職したら音楽はできなくなる」というのは誤解です。例えば「ソニーピアノの会」を検索してみてください。リストやショパン、バルトークなどの難曲に、社員がチャレンジしています。他にも社会人の音楽団体はいくらでもありますし、以前書いたように、ハラミちゃんが「ハラミちゃん」になるきっかけは一般就職にあり、就職がミュージシャンへの登竜門ということもあるわけです。人生、一本道ではないんですよ。最近は大谷選手の出現で、二刀流も現実味を帯びてきました。この選択、少し柔軟に考えてみてはいかがでしょう?