音大生応援団長の進路指導
連載43

第二の人生を見据えた就活の是非と
その際大事なこと
(洗足学園音大講演より③)

アンケート とても感心したことがありました。講演後のアンケートに氏名欄がないにもかかわらず、私へのメッセージ欄にご自分の学年、所属、氏名を記したうえで、質問内容が記されていたのです。私もアンケートに記入する際、できるかぎり自分の氏名と連絡先を書くようにしています。というのも、無記名だと、ついつい無責任な内容になってしまうからです。ですからこのアンケートに、とても共感しました。もちろん、質問に答えてほしい、との気持ちもあったかもしれません。でも、自分の名前を記すのは、とても勇気のいることではないかと思います。

さて、その内容です。大まかには、将来映画音楽でフリーランスとして活動したいが、その前に一旦就職する是非と、将来に備えて取り組むべき点や留意点に関するものでした。

質問の前半部分については、大学卒業後すぐでは、フリーランスとして生きるスキル・能力は身についていないケースが圧倒的に多く、うまくいかないことが多いので、その考えでいいのではないかと回答しました。フリーランスはそう簡単に成功できるものではありません。就職して人脈を築き、資金を貯め、ビジネスセンスを養うことはとても重要です。

体験談 後半部分は正直難しかったですね。というのも私は今でこそ第二の人生を充実させられていますが、狙ってこうなったわけではないからです。能力がある人間はいくらでもいて、残念ながら自分にはそれがなかったのです。ですから何かが上手くいった記憶はほとんどありません。それでも失敗を繰り返し、格好など気にせず、能力の足りない分は時間で補い、這いつくばり、何度も挑戦し、挫折しても立ち上がったことが今につながっている気がします。そこで、格好悪いなんて気にしない、這いつくばる、できるまでやる、などがこれから大事ではないか、と回答しました。

適切な回答かどうかはわかりません。少しでも参考になってくれればいいな、と願います。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2022年11月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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