人生とマラソン②
前回コラムの最後にご案内した12月4日(日)のJazz EMPでの東海林美咲さんとの1時間にわたる対談、無事終えることができました。ご視聴頂いたみなさま、ありがとうございます。主たる論点としては、最新刊『音大崩壊』の記述をもとに、30年後には必ずしも経済大国とはいえなくなるだろう日本が抱える喫緊の課題として、①音楽などの芸術や観光、医療などを柱とした文化国家(あるいはソフトパワー大国)への再構築、②それに対応できる人材育成策として、現在の画一的な学校教育からより生徒それぞれの個性や強みにフォーカスした方向での教育改革、の2点を挙げさせていただきました。これらの実現に向け、多くの方々と協力して取り組んでいきたい、と改めて強く思いました。
さて、前回の続きです。人生とマラソンのふたつ目の違いとして、「ペース配分」を挙げたいと思います。
マラソンを観ていると、ペース配分が重要で、それをしっかりコントロールできた人が上位に名を連ねます。それに対し、人生は自分が計算したペース配分で歩むのは中々難しいのではないでしょうか。親が急死し準備する間もなく会社を継ぐ、継ぐ予定だった会社が倒産してしまう、突然ステキな彼氏(彼女)が現れて他のことはほっぽって無我夢中(笑)……、このように人生を大きく左右する出来事は、時として唐突にわが身に襲いかかります。「備えあれば患いなし」とは言いますが、人生そんなに単純ではありません。だからといって「時の流れに身を任す」では、上手くいくものも上手くいかなくなってしまいます。ですから、次善の策として「できることは予めしておく」ことが大切ですし、人生を歩む中では「予期せぬ出来事」への対応力も必要です。それには色々なことに興味を持ち、トライし、経験値を積むことではないでしょうか。音楽以外にも興味を持つことで音楽の道が切り拓けたり、あるいは音楽以外に自分の居場所が見つかったりするかもしれませんよ。