音大生応援団長の進路指導
連載47

2023年新春を迎えて思うこと
―自由とは?―

あけましておめでとうございます。昨年に続き2回目のご挨拶になりますが、本年も引き続きよろしくお願いします。

ウクライナ侵攻 昨年はロシアによるウクライナ侵攻により、国際情勢のみならず日本国内にも大きな影響がありました。物価が上がったばかりではなく、北朝鮮との緊張関係や台湾を巡る中国情勢にも変化があったと思います。まだ収束の気配はありませんから、さらに影響が広がっていくかもしれません。

きっとみなさんもお感じになられていることだと思いますが、ウクライナの人々のことを考えると、とても心が痛みます。きっと命の不安に怯え、暖も取れず、不自由な生活を強いられているはずです。ゼレンスキー大統領のもとウクライナ軍は、そのウクライナ国民の自由を取り戻すために戦っています。では、何気なく使っている「自由」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

自由について、P.ドラッカーは次のように言っています。「自由とは楽しいものではない。幸福のことでも、平和や進歩のことでもない。自由とは責任を伴う選択である。個々の人間にとっては、奪い取られたり、免れたり、委譲されたりすることのない権利であり、義務である」(『産業人の未来』より要約)。ユダヤ系のドラッカーは、ナチス政権が誕生した1933年にドイツを脱出して危機一髪命をつなぎましたが、身に迫るホロコーストを強烈に感じた人物です。自由を奪う戦争や全体主義を強く意識して定義づけたと考えられます。自由を奪われそうになったら、戦うのは権利というよりも義務だと言っているのはそのためです。私たち日本あるいは日本人は、自由を奪われそうになったら、どう行動すべきなのでしょうか。

ウクライナ侵攻 私たちはコロナ禍で、「自由を奪われると音楽を楽しめなくなる」ことを学びました。2023年の平和を祈りつつ、自由の大切さとそれを守るためにどうすべきか―――もちろん私を含め、音大生のみなさんにも真剣に考えて頂きたいと感じた年明けです。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2023年1月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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