音大生応援団長の進路指導
連載49

最近の若い人が関与した
事件報道より

キャリア教育 私は大学で「キャリア」という授業を担当しています。キャリアは職業とか経歴を意味する言葉ですが、文部科学省によれば、「将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するための力」を意味する言葉で、その力を養うのが「キャリア教育」だそうです。

ただ自立以前の問題として、民法改正でみなさんは入学時にほとんどが成人で、いわば「大人の初心者」となりました。「大人の初心者」にはさまざまな罠が待ち受けているため、私の授業では「守りを固める」指導も行っています。例えば新型コロナの蔓延で持続化給付金の話が出た際は、「仕事をしていなくても給付金が受け取れるかのような話には絶対に乗らないこと」とか、一昨年ニューヨーク州で嗜好用大麻が合法化された際は、「ニューヨークではみんな吸っているから大丈夫」という誘いには絶対に応じないこと、といった具合です。とりわけオレオレ詐欺などの「特殊詐欺」には特に注意するよう伝え、事件が起きる都度、背景にある課金ゲームや競輪・競馬などによる借金の怖さや、「すぐ稼げる」「簡単な仕事」との甘い誘いの危険性について解説するよう心掛けています。

闇バイト しかし、残念ながら闇バイトなどに応募して罪を犯し、捕まった犯人を見ると若者ばかり。しかも手口は凶悪化しています。強盗は反社会的行為の最たるものですから、非常に重い刑が課されます。まして強盗殺人ともなれば、無期懲役か死刑です。

犯罪でそれに見合うおカネや生活が手に入ることは決してありません。大切なご家族にもとても肩身の狭い思いをさせてしまいますし、場合によってはご家族の生活を破綻させる事態も生じかねません。音楽を愛するみなさんには一見遠い話のように感じるかもしれませんが、「大人の初心者」であることには変わりませんから、犯罪グループはあの手この手で迫ってきます。みなさんにはそのことをよく認識し、行動に反映させて頂きたいと思います。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2023年2月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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