音大生応援団長の進路指導
連載58

名古屋芸術大学の授業から④
変わるインターンシップの位置づけ

インターンシップ 私は名古屋芸大で「インターンシップ」という授業も担当しています。授業の前半は座学で、インターンシップに参加するのに必要な知識や心構えについて講義を行い、後半ではインターンシップ生受け入れ企業にて5日間程度実地経験をしてもらい、最後に全員集まってそれぞれの体験を発表し、そこで得られた知見を共有する試みです。実地体験ができるとあって非常に人気のある授業ですが、外部へ学生を派遣するため、受講前に選抜があり、それに合格した学生のみ受講可能です。そのため受講する学生の授業への参加意欲は高く、このインターンシップの授業は、経験を積めた学生にとっても、受け入れた企業にとっても意義深いものになっているようです。

さて、このインターンシップ。その位置付けが大きく変わろうとしています。というのも、インターンシップはこれまで「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義され、企業はインターンシップで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使うことができなかったのですが、現3年生の就活からは、一定の基準を充たせば活用できるようになったからです。

インターンシップ 要は、今まではインターンシップでどんなに優秀だと思う学生に巡り合っても、その情報をもとにその学生を採用することはできなかったのですが、これからは堂々と行うことができる、ということです。インターンシップはあくまで体験で、採用活動とは遮断すべきもの、との従来の考えの大きな転換といえそうです。これまでもインターンシップから学生を一本釣りするケースがあるのは周知の事実でしたが、政府はそれを追認した形です。

こうなると現在行われているワンデーインターンシップ(就業体験一日コース)などは、就活上は面接とほとんど同じ位置づけになりそうです。学生側も、インターンシップは単なる体験ではなく、面接などの採用試験の一形態と考えて対応する必要があります。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2023年7月10日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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