時間の使い方
先日授業後に、学生からこんな質問を受けました。「私は時間の使い方が下手なんです。どうすればいいですか?」———これまでも何度か同じような質問を受けてきましたが、それらには「どうすれば上手くなるか?」との質問が言外に含まれていました。しかし今回は、改善の余地はない前提で、どうすればいいか、と聞いています。
話を聞くと、私の授業で「成果をもたらすのは強み。弱みはいくら努力しても平凡になることすら難しい」とのドラッカーの言葉から、『「今できないこと=弱み」⇒それは改善不能』との思考の流れになったようです。確かに私の授業でそこだけ切り取ると、そのような解釈も成り立つのかも、と反省。
とはいえ、何事も最初からうまくできる人なんてまずいません。大リーグで大活躍の大谷翔平選手だって、はじめはボールが5メートルも飛ばなかったでしょうし、ピアニストの角野隼斗さんだって、最初からショパンやベートーベンが弾けたわけではありません。みな初心者から中級者へと徐々にレベルをあげていき、その努力の継続から途方もない領域に達するのです。「強みになる・ならない」、「上手い・下手」は、最初から決まっているものではありません。では、どこで見極めるのかと言われれば難しいのですが…。
この学生の場合は、これまで時間をうまく使う努力をしてきていないようでした。「楽器が上手くなりたいと思ったら、練習するでしょ。同じように、時間も練習次第でうまく使えるようになるよ」とアドバイスすると、わかったような、わからないような…。
そこで一歩踏み込んで、「ともかく、時間の使い方が上手くなる努力をしてみよう。毎日やること、1週間後や1か月後までにやることなどを整理して、ノートに書き出してごらん。そしてできたかどうか、一日の終わりに毎日チェックするんだ。楽器と同じで練習すれば上手になるし、努力しなければ今のままだよ。」———あとは実践あるのみ。しばらくしたらフォローしてみようと思います。