音大生応援団長の進路指導
連載61

時間は資源

前回、時間の使い方の話をしました。では「時間とは何か?」と問立てすると、さまざまな学問分野から定義づけされており、最後は哲学的な世界に入り込んでしまいます。その中で「経営学の父」といわれるP.ドラッカーは、「時間は最も不足する資源」と表現していますが、言いえて妙だな、と感心します。ホント、足りないですよね。

でもそれは冷静に考えてみれば至極当然のことです。1日24時間のうち、必ず割かなければいけない睡眠に8時間、仕事(学生なら学校生活)で8時間とすると、残りは8時間しかないんですから。それに、3回の食事、入浴、トイレで3時間くらいかかると残りは5時間。さらに通勤・通学にも時間は奪われます。

1日にある自分の時間って、実際にはテレビや遊びを入れても3、4時間しかないんですよ。この中からまとまった時間を確保するのは至難の業。ではどうするのか? 方法はいくつか考えられます。

時間は資源 ・隙間時間を有効活用する
・やるべきことを絞る
・土日や夏休みなどの長期休暇活用によるまとまった時間の確保
・睡眠を削る

ありがちなのが最後の「睡眠を削る」ですが、これは絶対避けるべきです。私も経験がありますが、時間当たりの効率が確実に低下し、増えた時間に見合う成果は期待できません。ですから、最初の3つをうまく組み合わせることが非常に大切になってきます。問題はどう使い分けるか、です。

まず「隙間時間」。これは受験には非常に有効ですが、大きなことをなすには隙間はやっぱり隙間に過ぎません。ですから、あくまで本丸ではないと意識して活用する必要があります。

そして本丸は「やるべきことを絞る」「まとまった時間の確保」です。自由になる時間はこれだけ限られているわけですから、何かを得るには何かを棄てる必要が生じます。あとはまとまった時間をできるだけ確保し、そこで集中して取り組むことです。時は夏休み。このまとまった時間をいかに使うかが、あなたの人生を大きく左右することになるかもしれません。そして私自身も。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2023年8月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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