チャンスのネタ(その1)
サウンドパフォーマンス・
プラットフォーム特別公演
安野太郎ゾンビ音楽
『大霊廟Ⅳ―音楽崩壊―』より
9月19日(火)に10月14日(土)、15日(日)に行われるサウンドパフォーマンス・プラットフォーム特別公演 安野太郎ゾンビ音楽『大霊廟Ⅳ―音楽崩壊―』公演のプレトークショウが行われ、参加してきました。ゾンビ音楽は、愛知県立芸術大学の安野太郎准教授が2012年から始めた「プログラムされたロボットが笛を自動演奏する音楽のプロジェクト」で、前回の京都に続き今回の名古屋開催が第4弾となります。この公演と私との関係について、簡単に説明しておきます。
拙著『音大崩壊』の出版が、第3回の公演終了直後だったそうで、「音大崩壊とはどのような現象か」、「世界の音楽を破壊するという妄想から生まれた自分のゾンビ音楽と関係が深いのではないか」などと関心を持ち、お読みになったそうです。その中で、自分も音楽で食っていけずに困窮化し、ゾンビになりかけた経験と、そこから立ち上がり音楽で認められて准教授の職を得た経験から、共感と違和感がないまぜになった感覚を覚えたそうです。それが今回の「音楽崩壊」で大きなエネルギーを放つのではと考え、今年の5月にプロデューサーの小野寺啓さんとともに名古屋芸大を訪ねて来られたのです。そこでお話しするうちに意気投合し、今回の公演に演者として参加することになりました。
その後、時に小野寺さんを交えながら安野先生とお話しするうちに、自分が今音大教授の立場になっているフシギとともに「チャンスのネタ」は思わぬところにあるものだ、と改めて感じました。「チャンスのネタは思わぬところにある」———この言葉は、是非心にとどめておいていただきたいと思います。
安野先生は、私が何かのきっかけで音大生に強い関心を持つようになり、自ら望んで転職したのだと思い込んでいたようです。「そうでなければ、これだけの熱量で本を書けないでしょう」というのです。しかし、現実には銀行から「これ以上銀行にいても、君に未来はない。取引先に転職してはどうか?」との退職勧奨によるものでした。まさかこれが大学教授の道につながっているとは、思いもよりませんでした。(つづく)