チャンスのネタ(その4)
ドラッカー学会
飛騨高山大会より
10月はゾンビ音楽公演の翌週にドラッカー学会飛騨高山大会がありました。高山市は2005年2月に近隣9町村と合併し、今や日本一面積の大きい市となっています。その面積、なんと2,200㎡! そう言ってもピンと来ないかもしれませんが、大阪府や香川県より大きく、東京都と同じくらいといえば、いかに大きいかおわかりいただけるでしょう。そこで開催されたドラッカー学会も、参加者80名を超える大規模な大会となり、質的にも非常に素晴らしく、多くの学びがありました。今回はその一部をご紹介したいと思います。
自動車板金塗装の有限会社オートボディーツタさん。社長の津田尚幸さんは、平成18年に創業されたお父様から社長を引き継ぎました。お父様の時代はモータリゼーションが進み、業績も右肩上がりでしたが、津田さんが引き継いだころは地域の人口減少や競合の激化で非常に厳しい時代に突入していました。何とか差別化を図ろうと他社の広告を見ていると、「早い、安い、きれい」と何かの飲食チェーンのような広告ばかり。そこで何か別の発想から商機を探れないか考えることにしました。着目したのが、高山の冬の雪の多さです。道路で塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの成分を含む融雪剤を使うため、海岸沿いと同じようにタイヤの下回り部分にサビや腐食が発生しやすいことに気づきます。他社がボデーの板金塗装で競う中、下回りの防錆に勝機ありと、ツタ式防錆プログラムSABINコーティングを開発します。
最初の注文は、何と和歌山県のお客さまからのキャンピングカーの防錆依頼。そしてこれまでまったく取引のない建築関連会社からも「建材の防錆加工」の依頼が舞い込みます。防錆は自動車のみならず、工場などの水廻り設備においても必要な技術だとわかり、新事業展開につながりました。津田社長の何気ない日常生活の観察の中から商圏の拡大と新事業展開のチャンスのネタを掴み取った物語は、みなさんの音楽の中に一杯潜んでいるチャンスのネタ探しにも大いに役立つはずです。