アナウンサーと銀行員の共通点
先日、愛知県刈谷市で演奏家・音楽教室の先生向けセミナーが開催され、アナウンサーで会社経営もされている平野裕加里さんと講師を務めました。その際、平野さんがお話しされたアナウンサーとして心掛けていることが、銀行員時代に私が心掛けていたことと重なっており、とても驚きました。
ひとつはインタビューを行う際の準備について。アナウンサーは取材対象にいろいろな質問をするため、多くの人から「質問を考えるのが大変ではないか?」と聞かれるとのこと。平野さんは、まず「この人に最も聞きたいことは何か?」を考え、その聞きたいことを引き出すために必要な質問を準備するとのことでした。
私も銀行員時代、担当先について考えるのは「この会社の最大の問題点、課題は何か?」でした(拙著『「音大卒」の戦い方』P.60参照)。その課題を解決するために、販売先、仕入先、財務、従業員、店舗、生産管理、情報システム、事務管理など多面的に会社の状況を分析し、解決提案を考えていました。アナウンサーもこれと同じ思考パターンなのですね。そう考えると、音楽や美術などの芸術にも同様のことが言え、「聴衆に最も伝えたいことは何か、それを伝えるためにはどうするか」という思考方法は非常に有効ではないかと思えてきました。
次にテレビなどで画面に映る際は「なるべく特徴を消す」のだそうです。例えば大きめのイヤリングは小さいものに代えるなどして、視聴者ができる限り(映っているアナウンサーではなく)ニュースに集中できる環境作りを心掛けるそうです。アナウンサーは目立つのが仕事のように思っていましたので、その逆とはビックリ! 今はだいぶ変わったかもしれませんが、銀行員もさまざまな業界や企業の方と会いますから、私の時代はどのような方にも受け入れられる服装や態度を心掛けていました。さまざまなお仕事がありますが、奥の方ではひとつにつながっているのかもしれませんね。