選挙に行こう!
私は大学でキャリア・デザインの授業を担当しています。その中で参政権や女性の権利を確立する過程には、先人たちの大変な努力とともに多くの血が流れた話をしました。今回はその授業の一部をご紹介します。
選挙権年齢が満18歳に引き下げられ、ほとんどの大学生が選挙権を有するようになりました。そこでみなさんに投票に行くかどうかを尋ねてみると、行く人と行かない人がほぼ半々でした。それぞれの理由を聞いてみると、行く派からは「政治に興味があって早く投票したいと思っていた」「せっかく与えられた数少ない権利なので行使したい」「大人になったことを実感してみたい」など、行かない派からは「政治に興味がない」「誰に投票しても世の中は変わらない」「考えるのが面倒」などといった声が上がりました。みなさんはどうですか?
その後授業では参政権の歴史について学び、イギリスでエミリー・デイヴィソンという女性が9回監獄に入れられても屈せずに女性の権利拡大を求める活動を行い、ダービー(競馬)で国王の馬に飛び込んで亡くなった際、手に「女性に参政権を」と書いたスカーフを持っていたこと、日本の女性参政権は戦後の民主化の中でようやく実現したことなどをお話ししました。
欧米では女性の権利は最初から男性と同じようにあったと思いがちですが、欧米も元々は日本同様の男性優位社会でした。それを多くのデイヴィソンのような女性の努力と死が今の姿に変えたのです。そのことがわかると、学生のみなさんは私たちが持つ参政権などの権利の大切さに気付いてくれた様子でした。
授業後、東アジアからの留学生が私のもとに来て、「日本はこれでも東アジアでは最も進んでいます。私の国をはじめ、まだまだ女性の権利のみならず選挙権すら与えられていない国が多くあり、民主化を進める努力が必要です。この大学での学びを帰国後に活かしたい」と言ってくれました。若い力がとても頼もしく思えた瞬間です。