幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校では、主幹教諭・指導教諭・教諭・助教諭・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭・講師(特別非常勤講師を除く)があります。これらの職は、それぞれの免許状(教員免許)の授与を受けている者でなければなりません。
教諭、助教諭、講師という一般的な教員になるためには、校種・職種に応じた免許状。養護教諭、養護助教諭、栄養教諭という専門的な教員を務めるには、職種に応じた免許状の取得が必要です。ただし、中等教育学校の教諭・助教諭の免許状はなく、中学校と高等学校の教諭または助教諭両方の校種で教科や分野ごとの免許状を有することが原則となっています。
教員の一種ですが、「講師」の免許状は存在せず、特別非常勤講師を除いて、教諭か助教諭の免許状を持つものでなければならないことになっています。 待遇等からは、1日の勤務時間が本務教員と同じで、報酬は月給制で昇給もある常勤の「本務欠員補充講師」や「産育休講師」と「非常勤講師」とがあります。「非常勤講師」は通常、授業時間のみ勤め、報酬も時間単位で計算されます。
主に、専門的知識や技能を持った人を対象として「特別免許状制度」があります。これは大学での養成教育を受けていない人でも、都道府県教育委員会の行う教育職員検定により免許状を授与する制度です。また、優れた知識や技術を有する社会人を学校教育に活用することにより、学校教育の多様化への対応とその活性化を狙った「特別非常勤講師制度」もあります。この特別非常勤講師は、教科の領域の一部に係る事項などを担任することができます。
なお、私立校などでは、教員免許がなくても専門的知識や技能があれば講師として採用するところもあります。
公立校の教員は公務員と同様の身分になります。給与は各自治体によって異なりますが、公務員給与は公表されていますのでそれを参考にしてください。給与だけでなく、退職金などの規定も同じです。一般的に民間企業よりも公務員の方が高収入ですし、独自の給与体系を持つ私立校も、多くは公立校を目安にしていますから、教員は比較的収入の良い職業とされています。ただし、仕事の内容や拘束時間を考えると、決して高待遇ではないと指摘する現場の声もあります。
また、近年の自治体の財政難や少子化による公立校の統廃合や私立校の競争激化により、正規職員である教諭の採用数を抑え、教諭・常勤講師・非常勤講師の比率が高くなっており、すべての教員が高収入・高待遇とは言えなくなってきつつあります。
公立校の採用試験の合格率は自治体により、そして教科等により20数倍から3倍程度までさまざまですが、合格は決して簡単なものではありません。また、地域や教科によっては採用枠が極めて少ないこともあり、毎年「浪人」する人が少なくありません。 少子化の影響で学校の統廃合が進んでいること、社会人経験者、大学院修了者に対する採用試験の筆記試験等を一部免除など、採用方法の多様化も進んでいますが、教員採用試験が難関であることは当分続きそうです。
ひと口に教員といっても、幼稚園の先生から小学校、中学校、高校の先生や大学教授まで、さまざまです。一般的にはまず「教員免許」を取得し、「教員採用試験」に合格しなければなりません。「教員免許」は大学や通信大学で必要な単位を履修するか「教員資格認定試験」に合格することで取得できます。「教員採用試験」は公立校の場合は都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施し、私立校はそれぞれの学校が実施します。
私立校の採用方法や採用時期は各学校ごとに異なります。また、多くは欠員補充の採用しかありません。募集方法も新聞や求人誌への広告であったり、学校のサイトに掲載したりと、これもまた学校によりまちまちです。さらに、公募せず、縁故や紹介などで採用しているところもありますので、学校に直接問い合わせるなど、自ら情報収集することが大切です。
産育休講師や非常勤講師を希望する人は、教育委員会、教育事務所、県・市の教育人材バンクなどに、履歴書、写真、教員免許状の写し(取得見込証明書)などを提出して登録しておきます。講師は任用期間が長くても1年であり、講師の仕事が常時あるわけではないことも知っておきましょう。
基本的には他の学校教員と同じですが、音楽科の免許状を取得するためには、音楽科や音楽教員過程専門コースなど、免許取得の履修コースがある大学に進学しなければなりません。公立校の音楽教師になるには、各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験を受け、合格したら「名簿に登録」します。音楽科の場合、欠員がないと採用されないので、欠員が出るまで待機しなければならないこともあります。私立校の場合は、音楽教員の募集校を自ら探し受験します。
障害のある幼児・児童・生徒一人ひとりのニーズに合わせ、自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援・教育をするための学校のことです。特別支援学校は、小、中、高・幼稚園に置くことができます。
特別支援学校の教員は、障害のある者の教育・支援をします。 具体的に、小・中・高・幼稚園の教育を行い、それに加えて障害に基づく学習上や生活上の困難を改善・克服するための「自立活動」という特別の指導をします。また幼児・児童・生徒の健康面の管理・保護の対策なども仕事の一つです。
特別支援学校・学級において、障害がある者(肢体不自由者や言語障害者など)の自立活動を担当する教師になるための資格です。特別な指導を担当するので、教員の専門性の向上として位置づけられています。旧免許状である盲・聾(ろう)・養護学校教諭、旧特殊教育(教科)教諭の再編成により、現在免許状は3つの「種類」があります。
特別支援学校教諭免許状には、3つの種類があります。
1つ目は、「特別支援学校教諭免許状(一種・二種)」です。これは、視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者(虚弱者)と、さらに5つの領域に分かれています。2つ目に、「特別支援学校自立教科教諭免許状(一種・二種)」があり、理療(・理学療法・音楽・理容・特殊技芸の5つの教科に分かれています。そして、3つ目は「特別支援学校自立活動教諭免許状(一種のみ)」で、視覚障害教育・聴覚障害教育・肢体不自由教育・言語障害教育の4つの領域に分かれています。免許状を取得するときは、種類や領域などを混同しないように注意しましょう。
特別支援学校教諭免許状を取得するために、小・中・高・幼稚園の普通免許が必要になります。それに加え、さらに特別支援学校教諭免許状の教職課程がある大学で所定単位を修得します。また、特別支援学校自立教科教諭免許状に関しては、教科の種類によって、はり師免許やきゅう師免許などが免許状授与条件となっている場合もあります。
専門課程のある大学(通信制大学も含む)などへ編入する以外の方法として、一つに「特別支援学校教員資格認定試験」を受験し、合格することで特別支援学校自立教諭免許状を取得できます。また、特別支援学校教諭免許状の二種であれば、小・中・高・幼稚園の普通免許状を持ち、教員の経験がある者は「教育職員検定」に合格すると取得できます。さらに、一定の教員免許状を有する現職教員の方が、上位の免許状や他の種類の免許状を取得しようとする場合に、大学の教職課程によらずに必要な単位を修得するために開設されている「免許法認定講習」があります。
特別支援学校における音楽教育は、音楽的に高いレベルの技術や習得のみが目的ではありません。最近では、障害をもつ者への音楽を通した療法が注目され、実践されてきています。具体的に、発達の援助・障害の回復や軽減・情緒安定などを目的として、歌唱や楽器演奏、創作、聴覚を刺激することで身体運動・リズム運動を促す療法を行っています。目的は一人ひとりの障害に合わせて異なってきますが、集団で音楽活動をすることで楽しさを感じ、社会を高めることも目的の一つです。
認定試験は、人材の確保・増大を図るために、大学などで通常学習する教員育成・履修を受けてきたかを問わずに、教員に必要な資質能力があると認められた者に、教員の免許状が与えられるというものです。特別支援学校教員資格認定試験に合格した者は、「特別支援学校自立活動教諭(一種のみ)」の免許状を取得出来ます。
実施科目は、自立活動の聴覚障害教育と肢体不自由教育の2つの種目です。これによって取得できる免許状の種類は、特別支援学校自立活動一種免許状の聴覚障害教育または肢体不自由教育です。(平成24年次) 年度によって実施する科目等が違うので、気を付けましょう。
試験資格は、大学(短期大学を除く)を卒業した者ならば受験することができます。また、その他に該当する者として、高等学校を卒業した者、あるいは高等学校卒業と同等以上の資格がある者で、特別支援学校教員資格認定試験の施行日に属する年度の4月1日における年齢が満22歳以上の者に受験資格が与えられます。
試験には、1次・2次試験があり、1次試験合格した者または1次試験のすべての試験科目を免除された者だけが、2次試験に進めます。1次試験(マークシート形式)の科目は、①一般教養科目。②教職に関する科目(教職に関する専門的事項)。③自律活動に関する科目(特別支援教育に関する一般的事項及び自立活動に関する専門的事項)があります。2次試験はさらに専門性が高まり、試験方法は論述式筆記・実技・口述試験となり、受験科目は自立活動に関する科目(聴覚障害教育、肢体不自由教育など)が試験内容となります。
この認定試験については、筑波大学の担当部署へ問い合わせて下さい。(平成24年時点) また、認定試験の案内や過去問については、文部科学省ホームページを確認して下さい。
本当です。が、学校や地方自治体などによって、採用試験の条件は異なります。受験する年度ごと、また自治体ごとに確認することが望ましいと言えます。 東京都の場合、受験する校種・教科の普通免許状のみ(特別支援免許状を未取得であっても)でも、特別支援学校教員採用試験を受験できます。ただし、採用から5年以内に特別支援免許状を取得する条件があります(※あくまでも東京都の例です)。なので、毎年計画をもって、大学などで行われる教育職員免許法認定講習や教育職員検定を受け、取得して下さい。
学校の教育において、担当する教科に関する知識や経験を持つ者に対して、都道府県教育委員会が行う検定のことです。これによって、教育免許状を取得することができます。大学などの教職課程修得や教員資格認定試験とは異なります。教育職員検定による教育職員免許状の取得方法はさまざまありますが、特別支援学校教諭免許状を取るには、教員としての在職年数と単位修得により免許状が取得できます。
試験資格は、大学(短期大学を除く)を卒業した者ならば受験することができます。また、その他に該当する者として、高等学校を卒業した者、あるいは高等学校卒業と同等以上の資格がある者で、特別支援学校教員資格認定試験の施行日に属する年度の4月1日における年齢が満22歳以上の者に受験資格が与えられます。
この講習は大学などの教職課程によらずに、教員免許状取得に必要単位の認定を受けることができる講習(制度)のことです。これによって認定された単位をもって、教育職員検定を受けることができます。主に教育員会や大学などが認定講習を行っています。なお、実施する講習により、条件がある可能性があります。 (文部科学省:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/010602.htm にて、免許法認定講習の開講講座等開設予定調査結果)
専任の教員とは違って、小学校教諭は受け持つクラスの国語や算数など音楽や体育・図工を含む全教科を教えることが一般的で、さらにHR・給食・掃除・登下校といった学校生活においても指導を行います。また、遠足や運動会といった学校行事、家庭訪問、教員同士の勉強会や研究活動なども大切な仕事です。
小学校の先生になるには、まず大学や短期大学などで「教員免許」を取得する必要があります。大学は教職課程があればどこでも大丈夫です。教育大学・教育学部である必要はありません。 免許状の種類は、普通免許状・特別免許状・臨時免許状の3種類があります(なお、通信教育課程で取得できるのは普通免許状です)。小学校の先生になる免許はどの種類の免許でも問題ありません。
小学校教員免許状の受験資格は下記の通りです。
一種免許状は、大学(学士)で教科に関する科目8単位、教職に関する科目41単位、教科または教職に関する科目10単位を修得した卒業者。次に二種免許状は、短大(準学士)で教科に関する科目4単位、教職に関する科目31単位、教科または教職に関する科目2単位を修得した卒業者。最後に専修免許状は、大学及び大学院(修士)で教科に関する科目8単位、教職に関する科目41単位、教科または教職に関する科目34単位を修得した卒業者に、それぞれ受験資格が与えられます。
単位の履修方法は、原則として教職課程で修得しなければなりません。履修する科目については、大学・短期大学ごとに教員養成に必要な分野を包括するように編成されています。そのために修得すべき科目数・単位数は必ずしも一致せず、それぞれの大学・短期大学などの教育課程によって違います。また、科目に対する重点の置き方も、大学・短期大学などの学科ごとによって違います。自分の通う大学での履修方法を確認しておきましょう。
音楽の中学校教諭免許状・高等学校教諭免許状は、国公立・私立の高等学校で音楽教師として働くために必要な資格です。 これを取得するには、中学校において、一種免許状・二種免許状・専修免許状を取得します。そのために、それぞれ各学位を有し、教科に関する科目・教職に関する科目・教科または教職に関する科目の必要単位数を修得しなければなりません。また、高校においては、一種免許状または専修免許状を取得し、同じようにそれぞれの学位を有し、教科に関する科目・教職に関する科目・教科または教職に関する科目を必要単位数修得します。
ソルフェージュ・声楽(合奏及び日本の伝統的な歌唱を含む)・器楽(合奏及び伴奏並びに和楽器をむくむ)・指揮法・音楽理論と作曲法(編曲法を含)及び音楽史(日本の伝統音楽及び諸民族の音楽を含む)と、以上の科目より、教育職員免許状取得に必要な単位を修得します。修得単位数は、中学校・高等学校ともに44単位です。